論理の範囲を広げるとは

クリティカルシンキングという本を読んだ。

[新版] MBAクリティカル・シンキング

[新版] MBAクリティカル・シンキング

今まで私は“論理”に関して狭義の意味でしか捉えていなかった。ある限られた範囲内で論理を構築することは多くの人ができるものだと考えていたし、実力差を生むのは論理を持った上でのクリエイティビティーだと思っていた。

しかし、この本で述べているのはそのような狭義で初歩の論理ではなく、かなり広がりを持つ範囲内での論理を構築することの重要性であった。通常様々な要因が存在する状況下で思考するとき、論理的に考えると錯覚し、実はあらかじめ自分で限定した条件下で、条件の漏れに気づかず、安易な論理構築を行っている。

例えば、「営業部の営業効率を上げる」という命題を与えられたとき、「では売上高を向上させるために、情報共有システムの導入をしましょう」といきなり解決案を挙げその案に関して論理的に議論を行うといったケースが安易な論理構築である。そもそも、営業効率とは何か、その結果の効果測定が売上高向上でいいのか、なぜそのような命題が出てきたのかという考察を行わなければ、真の目的(この場合真の目的も明確でない)を達成することはできない。

上記の本はあらゆる事象を全体的に把握するためのフレームワークを提供してくれている。

  • MECE
  • ロジックツリー
  • ピラミッドストラクチャー

MECEとはMutually Exclusive, Collectively Exhaustiveの略で、「ダブりなくモレなく」という意味である。ある要素を分解して考えるとき、分解したパーツでその要素を構築できるか、パーツに重なりはないかと考えるのである。例えば人間を分けるならば、男と女であったり、成人と未成年がMECEである。社会人と学生ではニートがモレているのでMECEでない。

ロジックツリーはMECEを用いてある事象や要素を分解し、重要な問題やその原因を突き止めるフレームワークである。種の分化のような図を書くことによって詳細を把握しながら全体を捕らえることができる。

ピラミッドストラクチャーとはある主張をするメインメッセージはどのようにして導かれたかを、論理的に伝えるために用いられるフレームワークである。例えば、

  • B社のサービスを調査することによって効率的なオペレーション案を考えましょう

であれば、

  1. 非常に市場の見通しが難しく、各社ともサービス方法を模索している
  2. そのような状況下でB社は突出して売り上げ高が良い
  3. 自社もいくつかサービスプランを導入したが効果が現れない

のような3つの結論からメインメッセージを導き出すのである。さらに、自社のサービスプランが失敗した根拠を細分化することによって、その根拠を確かなものにするのである。

重要なのはこのクリティカルシンキングの考え方を理解するだけでなく、時間が許す限り使うことなのだ。このブログでも世の中のあるイシューに対してクリティカルに考えたい。