配置がだめなら即戦力も無駄使い

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即戦力についての興味深い定義がなされている。ただ、どちらにしろ企業が欲しがる即戦力になりえる能力と、本当に企業に必要な即戦力となりえる能力を履き違えている採用がとても多いように思える。

例えば採用時に、

  • 「大学時代ベンチャーを立ち上げ、こうこうこのような活動を行ってきました」とリーダーシップがあることを主張し、実務経験もある人材
  • 「大学の授業を一日も休まず、かつ研究室で与えられた課題をこなしてきました」と特に突出しているわけではない人材

の2人がいたとして、前者の実務経験がある方が即戦力になるように思える。しかし、採用側の企業が宅配業務のドライバー募集であったらどうだろう。2人の能力差は新入社員当初はこの内容ではつけようがない。実務経験よりも大型免許を持っている方がはるかに有能である。

これはかなり極端な例だが、「クリエイティビティがある人材を求めます」とか言って5年も10年も下流工程にしか配属しなかったり、営業業務だけやらせたりといった企業は多いと思う。

企業において不足している部署やポストに対し即戦力になるような人材が欲しいのであれば、もし仮にそいつが新卒でも能力を有している場合、いきなりそのポストに突っ込むことが本来の「即戦力求む!」に対する最適な配属方法なのではないか。それが出来ないのであれば、その即戦力の定義が間違っているか不足している部署の認識が誤っているかのどちらかである。